メタバースへの投資が今後、急加速するというかなり期待値の高い予測
2017年、clusterがDeNA、エイベックスから資金調達を行った。
clusterは端的に言うとネットワーク上のVR空間、いわゆるメタバースである。
メタバースとしては約10年、セカンドライフというサービスが話題になったことを覚えている人も多いだろう。
結局のところ、セカンドライフは定着することはなかった。
セカンドライフにはUI/UX的な問題やサービス自体の不具合も多く、決して一般ユーザーが必要とするものではなかったことが普及に繋がらなかった要因であろう。
当時、電通や慶應義塾大学、トヨタなどが一二を争うようにセカンドライフに投資した。
新しい技術・サービスに対する過度な期待が外れた一例であるが、だからといってこれ自体が「メタバース」への可能性を下げるものではない。
当時はメタバースというものがタイミング的に必要な時期ではなかったというだけに過ぎず、またセカンドライフというメタバースの一サービスが流行らなかったという事実だけが、この出来事からわかることである。
そして、その急先鋒として私はclusterが爆発的に流行るのではないかと思っている。
理由としては以下。
1.clusterは人口密度の高い有限空間を形成する
clusterはメタバースであるが、セカンドライフやマインクラフトのようにほぼ無限の空間というわけではない。
主にプレゼンテーションを行うような教室や、アイドルがライブを行う舞台のような比較的狭い空間に、目的意識の持ったユーザーを集めるサービスである。
セカンドライフであればほとんど制限なく無限とも言える空間を行き来することができるので、ユーザー同士が交わる頻度が少ない。
そして目的が特にあるわけでもないので、どこかに終結することもない。
ユーザーと関わることでコミュニケーションが生まれ、イベントが発生する。
世界における生きがいの本質であり、それは現実でも仮想空間でも変わらないことだ。
無限の空間でユーザーとの関わりもなければユーザーはその世界に次第に飽きてしまうだろう。
その点clusterではプレゼンを見る、アイドルのライブを観るといった目的やユーザーとの接触がある。
同一の目的を持ったユーザーと視覚的に接触できるというのは、現実世界でファン同士が集まるオフ会に近く、ユーザーのメリットは大きい。
DeNAが投資していることから考えれば、showroomのようなサービスと結びついて、アイドルのライブ会場でユーザー同士が交流をするという現実世界のコミュニケーションを、cluster上で行うことも可能だろう。
clusterがエンターテイメントでのイベントやビジネスでの会議をネットワーク上で代替してくれると考えれば、市場価値は大きいはずだ。
2.経営者含む経営メンバーのレベルが高い
これはサービス自体の評価ではないが、サービスが流行るのには欠かせない重要な要素であると思う。
実際にお会いしたことはないがCEOの加藤氏やそれを支えるメンバーの経歴を見る限り、ぽっと出のスタートアップとは全く異なる飛び抜け方をすることは想像に難くない。
特に加藤氏の京大大学院中退からの経歴はドラマとしても非常に魅力的であるし、彼の非凡な才能、技術力や人間性を表している。
幾らサービスやアイデアが良くてもそれをクオリティの高い形にし、世の中に広める力がないとなかなか世の中に広がることは難しいだろう。
逆にメンバーや人間の能力が高ければ、期待値は大きい。
思考や行動のフレームワークがずば抜けてさえあれば、人間は汎用的に突出することができるし、逆も然りである。
メタバースは今後、急加速して人々の生活に溶け込むだろう。
そもそもwordwidewebというのが二次元上のhttp://からはじまるwebページに止まっていること自体が不自然である。
ネットワークと言っているわりにただの文字情報、動画情報の二次元空間での連結で終わってしまっていてはネットの可能性もくそもない。
インターネット上のショッピングモールという言葉からは本来、現実世界の商店街のような三次元的な空間を想像できたはずだ。
しかし、いまやその言葉から想像できるのは「楽天」になってしまっている。
あのようなただPV数を稼ぐためだけに、わざとわかりにくく回遊させるようにしているとしか思えないUIのwebサービスが今後も残り続けることにはかなり疑問である。
というか、気持ち悪いな、2030年に楽天があったら未来に失望だな。。。
そもそもなぜ今、二次元のwebページが主流であるかといえば、それはデバイス側の問題が大きいだろう。
画面という二次元デバイスでアクセスしているのだから、webページが二次元なのは必然的な流れである。
であれば、まずデバイス側の変化が起こるはずだ。
幼少期、有機ELの存在を知った時は数年以内に画面は全て自由自在に持ち運べて曲げたり折ったりすることができるようになると思っていたが、最近の報道を見るにそれはどうやら有機ELに対する過度な期待だったかもしれない。
今後、画面デバイスは画質的な進化と物理物質的な変化を加速させると思われるが、世の中の流れは8Kなどの画質的な進化への期待値のほうが大きいようだ。
物理物質的な進化を遂げるには有機EL以外の新たなアプローチも起こりうるだろう。
現在、メタバースにユーザーがアクセスするもっともUXの高い手法はVRによるものだろう。
VRゴーグルで視覚的にアクセスすることで、メタバースを視覚的に味わうことが可能だ。
ただ最終的にはBMIをネットワークにアクセスする試みが広がり、脳とメタバースは完全に統合されるはずだ。
BMI(ブレイン・マシン・インターフェス)は現在、非侵襲型のデバイスが主流である。
しかし、脳と完全に統合するには侵襲型デバイスの開発が求められる。
もっともそれは手術などの外科的な行為を必要とするものでなくてはならない。
オキシトシンなどの脳の前頭葉前部に影響を与える投薬とBMIをうまく組み合わせ、半侵襲的な仕組みによって、現実世界とほとんど変わらない感覚をメタバース上で体現することはいずれ可能になるだろう。
まさにマトリックスや20世紀少年、もしもボックスのような世界であるが、現実として不可能ではないし、それが人類を救う唯一の方法になり得るというのが私の10年来の持論である。